子供の英語学習(英会話) 先生はネイティブ?それとも日本人がいい?
2021年4月13日
子供に英語を習わせたい。英会話スクールに通うのはどうだろう?
そう考えたとき、どんな先生が教えているのか気になりませんか?
せっかく英語を学ぶのであれば、良い先生に教えてもらいたいと思うのは自然なことですよね。
しかし、いったいどんな先生が「良い先生」なのでしょうか?
日本人講師のほかにネイティブ講師もいますが、ひとことでネイティブ講師といっても出身国は色々。最近では、英語ネイティブではありませんが、英語を日常生活で使っているフィリピン出身の先生が教えている場合も少なくありません。
この記事では、子供が英語学習をする際にどうやって先生を選んだらよいかを、日本・アメリカの大学で英語教育を学び、現在は留学&英語学習コンサルタントとしても活動する内田綾子さんに解説して頂きました。
これからもっと幼少期からの英会話教室が人気に
2017年にベネッセ教育総合研究所が「学校外教育活動に関する調査」を行いました。その結果、学習分野の習い事においては、英語・英会話教室が幼児で第1位、小学生で第2位となりました。
この結果からも、子供の早期英語教育に関心のある家庭が多いことがうかがわれます。
2020年度から公立小学校でも英語が正式に教科として採用されたため、今後はさらに英会話教室の人気が加速する可能性が高いでしょう。
ネイティブ講師のメリット・デメリット
ネイティブに習うメリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。
メリット①自然な英語をインプットできる
ネイティブ講師に英語を教わることで、発音や表現など自然な英語をインプットすることができます。また、英語の発音にクセがつかないよう発音チェックや矯正をお願いすることも可能です。
メリット②外国人への恐怖心がなくなる
ネイティブ講師とのレッスンを通じて、外国人とコミュニケーションを取るのが怖くなくなります。様々な国籍の人と関わる可能性がある今の社会ですから、外国人とも臆せず会話できるのは大きなメリットになるでしょう。
デメリット①日本語が分からない講師が多い
ネイティブ講師には日本語を理解できない人が多くいます。
英語は主語が最初に来て、次は動詞の順番になりますが、日本語では動詞が最後に来ます。
このように文法体系などが異なるので、日本語を学んだことがない、あるいは日本語をよく理解できない講師は日本人学習者がどのような点につまずくかが分かりにくいのです。
デメリット②講師の出身地により異なる発音や表現
ネイティブ講師と言っても、英語を母国語とする国には、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアやニュージーランドなどがあります。
出身国によっては同じ単語でも発音が違う、表現の仕方が違うなどがあります。
例えばtomatoの発音。カタカナ表記をするとアメリカ英語では「トメィトゥ」になりますが、オーストラリア英語では「トマァト」になります。
また、アメリカではナスはeggplantですが、イギリスではaubergineと、まったく違う単語になるのです。
このように、国によって発音や単語表現が変わるため、どの国の英語なのかは少し意識してもいいでしょう。
日本人講師のメリット・デメリット
日本人講師には、英語圏の大学などに留学をした人、帰国子女として海外生活経験がある人などがいます。
日本人講師の授業を受ける場合、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット①日本語で対応可能
まずなんといっても、日本人講師は「日本語で対応可能」というのが最大のメリットです。
まだ英語力があまりなく、ネイティブ講師に理解不足の部分をどう質問していいか分からない子。
あるいは性格的に引っ込み思案な子や、緊張してしまいなかなかネイティブ講師とは話ができない子には、精神的な安心感のある日本人講師が良いでしょう。
メリット②日本人がつまずくポイントを熟知
日本人講師は自分自身が学習者として英語を学んできた経験があるので、日本人が英語を学ぶ際につまずくポイントをよく理解しています。
そのため、生徒が苦手に感じる部分のフォローが上手な講師が多いのです。
また、幼児や小学生で英検を受験する子も増えてきましたが、試験に出るポイントを押さえた対策が得意な日本人講師も多くいます。
デメリット①ネイティブのような発音ではない
日本人講師の場合、英語の発音は基本的にネイティブスピーカーとは異なります。
もし発音が一番の優先順位であるのなら、日本人講師はあまりお勧めしません。もちろん幼少期から海外で育ち、大人になってから日本に帰国したような講師もいますので、プロフィールをきちんと確認するようにしましょう。
英語学習の理由や目的によって、先生選びは変わる
ネイティブ講師と日本人講師のメリット、デメリットについてお話ししてきましたが、実際に先生を選ぶ際に、もう一つ注意すべき点があります。
それは、子供がどんな目的で英語を学ぶのか?ということ。
そして、子供がどんな気質や性格をしているかということです。
子供の発達段階や性格に合わせた先生選びを
これまで述べてきたように、ネイティブ講師、日本人講師ともメリット、デメリットがありますが、もっとも大切なのは子供の性格や心身の発達を意識して先生を選ぶことです。最初に選んだ先生が、その先ずっと子供にとってベストの先生であり続けるとは限りません。
通学スタイルの英会話学校は、レッスンを担当する先生が担任制で変わらないことが多いため、子供と先生の相性が合わない場合は不便を感じる可能性があります。
ネイティブ講師向きタイプの子とは?
外国人と積極的にコミュニケーションを取りたいという子供は、ネイティブ講師向きと言えるでしょう。
話をすることでより相手に対する興味がわき、相手のことをもっと知ってみたい。そのためには英語をもっと話せるようになりたいという前向きな気持ちで学習が進みます。そして、英語を間違ってもあまり気にせず、多少理解できないことがあっても落ち込まない性格の子もネイティブ講師向きでしょう。
日本人講師向きタイプの子とは?
性格的に、未知のものに恐れや怖さを感じてしまう性格の子供は日本人講師向きです。
知らない人と会話をするということは、時には大人であってもハードルが高いものです。その上、英語で話しかけられたら気が動転してしまったり、パニックになってしまったりするような子供の場合は、まず日本語でレッスンを受け、英語に慣れてから必要に応じてネイティブ講師を選択するといった形がスムーズでしょう。
ひとりの先生に固執する必要はない!
このように、英語力や性格によって子供に合う先生は異なります。心身の成長とともに子供に変化が出てきた場合は、必要に応じて先生の変更も考えていきましょう。同じ先生だけにずっと教わり続ける必要はありません。
オンライン英会話なら自由度が高い
通学スタイルの英会話学校は、対面授業で講師と直接コミュニケーションを取れるメリットがありますが、その他のメリットを考慮してオンライン英会話を検討してみるのも良いでしょう。
例えばオンライン英会話では、好きな時間にレッスンを予約できます。
通学スタイルの英会話学校のように移動の手間もかからず、雨の日など外に出たくない時でも自宅で授業を受けられるのはとても便利です。
小さな子供の場合、突然体調を崩すことがありますが、予約キャンセルも決まった時間までに連絡をすれば、レッスン費用が無駄になることがないのも助かります。また、授業回数にもよりますが、毎月の費用も通学の英会話教室と比べ割安の傾向があります。
そしてオンライン英会話では日本人・ネイティブスピーカー、どちらでも好きな講師を選べる場合が多いです。
子供の性格や心身の発達に応じて、都度合う先生を選ぶことができるため、オンライン英会話はとても自由度が高いと言えるでしょう。
まとめ
- ネイティブ講師、日本人講師、それぞれにメリット、デメリットがあります
- 自然な英語に触れたい、外国人への抵抗感をなくしたいならネイティブ講師。日本人がつまずきやすい点に配慮してもらいたい、不明点は日本語で確認したいなら日本人講師がおすすめ
- 心身の成長に合わせ、その時々で子供にとって最善の先生を選びましょう
以上を参考に、英語学習の目的や子供の性格に合った英会話サービスを探してみてください。
<取材協力>
内田綾子さん
上智大学文学部英文学科卒業後、サンフランシスコ州立大学大学院にてTESOL修士号取得。その後ウーロンゴン大学大学院教育学部博士課程進学。
元上智大学、横浜国立大学、白百合女子大学非常勤講師。
現在は留学&英語学習コンサルタントとして活動中。
著書:CD BOOK 英語の出し入れ実践トレーニング(ベレ出版)
ロングマン完全パックTOEIC TEST入門編・上級編(ピアソンエデュケーション)など。