世界的ニーズが高まる「オンライン学習」とは? メリット・デメリットや代表的なサービスを紹介します
2020年5月13日
インターネットの普及とともに、動画やライブ放送を見ながらなにかを学ぶという「オンライン学習(eラーニング)」が浸透してきました。以前は一方的に学ぶだけでしたが、チャットや音声通話を利用して双方向にコミュニケーションが取れるように。
そんな教育のIT化(EdTech)に国や投資家も注目しています。
そんな、誰もが場所や時間関係なく学べる「オンライン学習」は便利ですが、どんなサービスがあるのでしょうか? またうまく活用していくためにはどうしたらいいのか、紹介していきます。
この記事の目次
オンライン学習ってなに?
オンライン学習はeラーニングとも呼ばれ、インターネットを使った学習スタイルのことです。
ウェブやアプリの動画でいつでも先生の授業を受け、質問もチャットや掲示場のようなしくみを使って行うことができます。
どれくらいの人が利用しているの?市場規模は?
日本国内のオンライン学習の市場規模は、2018年度には2,185億円に上りました(株式会社矢野経済研究所 調査結果)。2017年度からは9.3%増加。2023年には 市場全体で約3,000億円に達すると言われています。
引用元)株式会社矢野経済研究所
とても大きな市場に思えますが、世界的な市場規模は2022年時点では400億ドル(およそ5兆円)を超える市場規模になると予想されています。
なぜオンライン教育への注目が集まっているのか?
ひとつには、子どもであってもスマートフォンやパソコンを持つようになってきたことや、学校にタブレット端末が整備され始めていることが挙げられます。これにより、誰もが端末操作に慣れ、学習できる基本的な体制が整いはじめてきているのです。
また、年齢を問わず誰でも学びを行う「生涯学習」という言葉も浸透してきます。定年退職の年齢が延長される一方で技術革新は目覚ましいため、勉強し続けることでより長くよい条件で働ける、という現状も関係していそうです。
最近では、20代~40代といった働き世代についても「職業上に必要な知識・技術を習得するための授業(リカレント教育)への需要もあり、世代に関係なくオンライン学習のニーズが高まっていると言えるでしょう。
公的なサービスにも活用されるオンライン学習
オンライン学習と言うと「最新の学び方」のような印象を持つかもしれませんが、そんなことはありません。実際に、高校や大学といった場面にもすでにオンライン学習の仕組みが利用されています。
通信制高校
高校や大学も、オンライン学習を利用して卒業が可能です。
カドカワが運営するN高などが有名ですが、通信制高校ではインターネット上で行う学習・レポート提出などにより、全く登校せず、もしくは月数回の登校で高校卒業資格の取得が可能となっています。
そのため、不登校や、病気、学校外の活動との両立を目指す生徒など、年々多くの生徒が選択しています。
通信制大学
通信制大学は、初めて大学へ進学する生徒だけではなく、社会人になった後に入学する人にもニーズが高く、経済的な問題で進学できなかった人や、働きながら学び 直したいという人から選ばれています。
MOOC(ムーク)
MOOCとは、大規模公開オンライン講義を意味するMassive Open Online Courseの略称です。インターネットを使って、大学レベルの授業を公開するもので、東大や京 大でも実際に行われている授業が公開されています。
アメリカではテストに合格すれば単位取得の修了書をもらえる場合もあり、3,500万人が利用しているとも言われていますが、ビジネスモデルが確立されていないため、受講者数やビジネスとしてはまだ広まっていません。
オンライン教育のメリット・デメリットは?
子どもから大人まで、世界中でニーズが高まるオンライン学習ですが、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか?また従来とは違う学び方だけに、デメリットも気にな るところですね。それぞれ見ていきましょう。
メリット
集団授業では、みんなのペースに自分が合わせなくてはなりませんが、オンライン学習では文のペースに合わせて学習ができます。例えば動画で勉強する場合、分からなければ何度も繰り返して見ることができます。逆にすぐに理解できれば、短時間でその部分の学習を終了し、先へ進めます。
さらに、苦手な部分や、復習しておきたい部分などを、AIなどを使ってサービスが勝手に判定してくれるため、効率的かつ自分用にカスタマイズされた学習内容での 勉強が可能になっています。
また、従来では難しかった学習環境の格差を埋められます。部活や仕事をしているから夜に学習したい、習いに行くのは費用が高い、自宅から毎日通うのは遠くて無理、といった環境による困難が、オンライン学習であればほとんど関係ないのです。
デメリット
オンラインという特性上、目の前に先生がいるわけではないので、質問をしてもすぐに答えてもらえない場合があります。
また、ネット環境や利用者のパソコンスキルによって勉強のしやすさが変わってきてしまう可能性もあります。オンライン学習の前に、パソコンの使い方を学ぶという時間が必要になりますが、パソコンスキルは学んでおいて損はないと考えればこの時間も学習と言えるでしょう。
他にも、授業を受けるだけでは内容が頭に入らない、自学自習のためモチベーションが続きにくいといったデメリットがあります。
効果的にオンライン教育を活用するには?
メリット・デメリットがあるのはオンライン学習に限った話ではありません。しかしそれでもせっかく利用するのであれば効率的に学習したい、きちんと知識やスキルを身に 着けたいと思いますよね。では、いったいどのような点に注意していけばいいのでしょうか。
怠けてしまうポイントと対策
デメリットでも紹介した通り、オンライン学習は自学自習が基本となります。そのため、「めんどくさい」からと習慣化せずにやらなくなってしまうことも。
期間が空いてしまうと覚えた内容も忘れてしまうため、また一からやり直さなければならず非効率的です。また、ただ動画を見ているような内容ではつまらないと感じ、モチ ベーションも下がってしまうでしょう。
効果的な学習方法は?
まずは、「ここまでは必ず学習しよう」「一ヶ月でマスターするぞ」といった高い目標を持つのではなく、とにかくオンライン学習のサービスにアクセスする習慣を つけることを目標にしましょう。
どんなに気が乗らなくても、アクセスしてしまえば復習をしたり先生からの返事を確認したりしているうちに、「少しだけ学習しよう」と行動に移せます。
また、自分に合ったサービスの選択も大切です。例えば、先生とのコミュニケーションでモチベーションにつながるタイプなのか、進捗具合が目に見えるとモチベーションに つながるのかは人によって違います。
サービスによっても継続支援で力を入れている部分は違うため、自分のモチベーションタイプと合ったサービスを選ぶようにしましょう。
オンライン教育サービス
オンライン学習は注目されているジャンルであるため、大人向け、子ども向けともに多くのサービスがあります。ここでは、代表的なサービスについて紹介していきます。
子供向け
スタディサプリ
引用元)スタディサプリウェブサイト
月額費用:1,980円
リクルートが開発・運営しているスタディサプリは、小学校から大学受験までをカバーする、オンライン学習アプリです。有名な予備校講師が行う動画授業を、いつでもどこ でも何度でも見ることが可能。実際に1500校以上の学校でも利用されています。
すらら
引用元)すららウェブサイト
入会金:10,000円
月額費用:9,980円
※5教科・小中・毎月支払いコースの場合
すららは小学校高学年から高校生までが学習できるeラーニング教材です。アニメキャラクターが説明したり、自動でつまずきが診断されるプログラムがあったりと、楽しく学習習慣を身につけることが可能。親や先生が子どもの学習状況を把握できる機能も搭載しています。
アオイゼミ
引用元)アオイゼミウェブサイト
月額費用:2,800円
※6ヶ月一括申し込みコースの場合
中学生・高校生向けのオンライン学習塾サービス。利用者は、毎日プロ講師が生配信する授業を見て学習します。動画はあとから再び見られるため、自分のペースで進めるこ とが可能となっています。全国にいるユーザー同士で勉強について情報交換できるコミュニケーション機能も充実しています。
大人向け
SCHOO(スクー)
引用元)Schoo(スクー)ウェブサイト
月額:980円
※プレミアム学生の場合
国内最大とも言える動画量を誇るオンライン学習サービス。生放送の授業と、3000時間以上の動画教材が用意されており、デザインやプログラミング、英語やヘルスケアなど さまざまなジャンルが学べます。無料で見られる動画も用意されており安心です。
UDEMY(ユーデミー)
費用:1動画につき買い切り
世界最大級とも言われるオンライン動画学習サービス。動画の視聴権を買い取るため、1度支払ってしまえば期間に関係なく同じ動画を繰り返し見て学習することが可能。思 っていた内容と違う、といった場合も30日間の返金保証があります。
オンライン学習サービスを選ぶポイントは?
よく利用されているオンライン学習サービスを紹介してきましたが、他にもサービスはたくさんあります。これからどんどんと増えてくる可能性も高いでしょう。
全てのサービスを利用できればいいですが、費用や時間からも実際に使うサービスは厳選しなければいけませんね。それでは、どんなポイントに注意して選べば良いのでしょ うか?
値段
まず気になるのが値段ですね。
同じようなサービスなのに月額費用が異なるといった場合、先生が一人ひとりとコミュニケーションが取れる体制がある、SNS機能がある、進捗管理機能が充実しているなど、サポート体制が違う可能性があります。
オンライン学習は続けられなければ意味がないため、値段だけではなく「継続できそうか?」という視点からもサービスを選ぶ必要があるでしょう。
課金形態
値段の安い高いだけではなく、買いきりなのか、月額課金なのか、それとも年契約になるのかといった、課金形態についても確認しておきましょう。
多くのサービスでは、長期間分の費用を前払いすると安く利用できるようになっています。みな最初はやる気があるので長期契約を申し込んでしまいがちですが、サービスが自分に合わないと感じたり、他のサービスを利用してみたくなったりする可能性があるため、課金形態には注意しましょう。
難易度選択
初心者がいきなり中級者向けのサービスを使ったところで、「さっぱりわからなくてすぐに辞めてしまった」という結果になる可能性が高いです。逆に、ある程度理解してい る人が初級者向けの内容を学んでも復習にしかなりません。
自分に合ったレベルで勉強できるか口コミなどを見て調査してから選択するようにしましょう。
お試し期間の活用
月額・年額を支払って利用するサービスは、多くが無料お試し期間を設定しています。ときにはキャンペーンによってお試し期間が延長される場合も。これを利用しない手は ありません!
この期間を上手く使って、サービスが使いやすいか、自分の学習レベルに合っているか、継続して使える仕組みがあるかどうかなどをチェックしましょう!
似たようなサービスを同時に試すと、違いがわかりやすいですよ!
世界中で、自宅でインターネットを活用して勉強する「オンライン学習」を利用している人が増えています。オンライン学習では住んでいる場所や家庭環境による差を埋めら れるため、自分次第でたくさんのスキルや知識をつけられるようになりました。
また、興味を持った内容について勉強し始めるハードルが低くなったとも言えるでしょう。
まだ利用したことがない人も、まずはお試し期間を利用して「オンライン学習」をはじめてみてはいかがでしょうか?